統合失調症と喫煙
2006/05/16
今日は藤田保健衛生大学精神科教授の岩田仲生先生とお話しました。自分は4月から、ニコチン依存の心理的側面を探るため、岩田教授に誘われて、精神医学教室の客員講師をしています。

統合失調症患者は喫煙率が高く、彼のデータでは80%もあります。
彼は、患者のうち、吸っていない人の認知機能はよいのに、吸っている人は悪く、喫煙後は回復する。という、現象を捕まえており、分子遺伝学的な解析を試みようとしています。彼の仮説はこうです。

「統合失調症の人は、その病態として、認知機能の低下があり、それを補うために、喫煙している。その認知機能低下の原因を分子遺伝学的に捕まえることができれば、それをニコチンの代わりに補う薬を開発できる可能性がある。」
なるほど。魅力的な仮説です。

自分の仮説はこうです。病気のためではなく、ニコチンのために認知機能が低下している可能性がある。禁煙することで、認知機能の回復が見られれば、その根拠となりうる。

 岩田教授もその可能性に同意して、多数の統合失調症患者さんのリセット禁煙に挑戦する、具体的なプランを考えることとなりました。楽しみです。そのほかにも、企業でのメンタルサポートや禁煙支援の今後について、ざっくばらんに話ができました。教授を通じて、よい出会いがあるかもしれません。

明日は広島県福山市で講演です。



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コメント
<エレン>
2008/09/17
ニコチンのために低下していた認知機能が禁煙後どの位の期間で元に戻るのか、その結果の一部は既に出ていると思うけど、まだ統計を取るのに何年もかかるのかな?
それとも、20%の禁煙率だと、統計も取りづらいのかな?

良いニュースは、早く発表して欲しいです。

<シトリン>
2006/12/15
はじめまして。
今日リセ禁小説を読んだノンスモーカー大学4回生、シトリンです☆

できるかぎりの卒煙支援をしたくて「リセ禁」を購入、このブログを知りました。

企業での卒煙支援!!素敵ですね!!
偶然、最近リクナビでフリーワード「禁煙」で検索したところ
社内で禁煙支援をしている企業さんや
禁煙手当なるものがある企業さんも見かけ、
興味深かったです。

私は自分の内定企業、職場でも卒煙支援をしたいと考えてます☆
<サンボン>
2006/05/17
何人か統合失調症の患者の禁煙支援をしたことがあります。禁煙に成功すると、みな、表情が明るく、元気になります。その経験から、禁煙する統合失調症患者の認知能力の低下は、統合失調症に因るのではなく、喫煙に起因すると思います。磯村先生の仮説に一票です。研究成果が楽しみですね。


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